前回は、「選ばれる賃貸」について触れました。
もう少し考えてみたと思います。
「選ばれる」というのは「差別化」ということです。
「差別的優位性」という言い方もあります。
要は、ライバルと比べて、いかにユーザーに支持してもらえるポイントがあるか、ということです。
賃貸物件の一番の「差別的優位性」は「立地」でしょう。
「駅に近い」「スーパー、コンビニに近い」「海が見える」「職場に近い」「学校に近い」・・・。
「立地」は動かしようがありませんが、一方では、それが本来の需要ということになると思います。
その場所で部屋を探す人が多い、いわゆる「良い立地」の場合は、コストコントロールをきちんとできれば賃貸経営は成り立つと思います。
問題は「良くない立地」の場合です。
これからの賃貸経営で考えなくてはならないのは、まさにこの「良くない立地でどう賃貸経営するか」、ということです。
2つのアプローチがあると思います。
1.「良くない立地」を逆手に取る
丘の上にあるのであれば、見晴らし、日当たりを利用した建て方をする。
駅から離れた大きな道路に近い場所では、駐車場を2台使えるようにする。
公園の近くなどでは、ペットと一緒に暮らせる工夫をする。
というようなことです。
同じことを考える地主さんは他にもいますので、近隣の物件と比べて、明確な「差別的優位性」が必要になります。
また、うまくいくとすぐ真似をされます。
真似されにくい工夫も必要です。
2.「ピンポイントの需要」を掘り起こす
もうひとつは、ごく限られた人を対象にしてしまうことです。
最近はガレージハウスや、ボルダリングができる賃貸、オーディオ環境に優れた賃貸などがあります。
「ピンポイント」に特化することで、実は広いエリアからから集客できます。
当社も、デザイナーズ物件、防音室のある物件を企画開発しましたが、入居された方のほとんどは、藤沢でお部屋探しをされた方ではなく、「東京まで1時間で、◯◯な部屋」のような探し方をされていました。
→当社企画開発物件「ハナミズキ」
極端なことを言うと、6室の賃貸を作ったら、6人の方に住んでいただければ良いのです。
それくらい尖がったら、面白いと思います。
うまく作れば、相場以上の賃料を確保できると思います。
「その立地」で、「どんな人」に、「どんな住まい方」をしてもらうか、というシナリオを明確にすることは、これからの賃貸経営ではとても大事なことだと思います。
規格化された大量生産の賃貸住宅は、見た目は良いですが、実は長期間で見れば「差別的優位性」のない物件です。
いずれ供給過剰に陥り、価格競争にさらされる可能性が高いと思います。
藤沢も、新築物件ラッシュになっています。
おかげさまで人口が増えている地域なので、今はまだ新しく出来てもとりあえず満室になる状況にはあります。
ですが、いわゆる湘南の中心ともいえる鵠沼や片瀬でも、全国どこにでもあるありきたりの賃貸物件が増殖しています。
せっかくの湘南ブランドを地主さんが自ら放棄している・・・。
チャンスはたくさんあるのに。
とても悲しくなります。
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(※本記事はあくまで私個人の考えです。)